5話「境界線Ⅱ」

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 その言葉が彼女から出てくるのは当たり前だろう。特別だからと抱いていた嫌悪感は、杏奈の一方的なものだった。好きでもなければ嫌いでもない。桃菜にとって杏奈は距離感のある部員の一人に過ぎない。 「もういい? 私は帰るから。おつかれ」 「……お疲れ様です」  桃菜が去った準備室には蝉の鳴き声だけが響いていた。
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