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だったら、桃菜が奏みたいに杏奈のことを思いやっていれば、こんなことにはならなかったのだろうか。だけど、それはきっと望み過ぎだ。桃菜にとって杏奈が特別な存在ではないのなら、友人以下の相手に、そこまでの優しさをかけるべきだなんて言えない。
結局はやっぱり杏奈自身の問題だ。周りは悪くはないと思う。だったら、杏奈に対して「諦めずに戦い続けなさい」と発破をかけることしかできないじゃないか。
「……杏奈先輩は優しい人だから」
「奏ちゃんの言う通りだと思う。でも、このことで奏ちゃんが責任を感じるんは違う」
「でも、みなこちゃんが笠原先輩とこうして話をしてたのも、私が相談したことが回り回ってでしょ?」
「そうやけど」
だけど、そのことで何か問題が大きくはなったりはしていないのだ。桃菜だって、気に留めている様子はなかったし、状況は好転もしていなければ悪化もしていない。それは航平の言う通りだと言える。だけど、一つだけ想定外なのは目の前の奏だ。
「ということは、みなこちゃんにも迷惑をかけていたんだよね」
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