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「私は迷惑なんて思ってへんから! 里帆先輩と杏奈先輩が話してたんを聞いてもうただけで……」
奏のために動いていたのは間違いない。けど、それはみなこのお節介だ。杏奈が勘違いで奏を避けているなら解決してあげたいと思っただけ。奏には気づかれないように動くつもりだった。
奏の表情は硬いまま。廊下の色がじわじわと夜の闇に染まっていく。みなこは奏に向かい言葉をかけ続ける。
「これは、杏奈先輩自身が変わらないとどうしようもない問題。それに杏奈先輩は、奏ちゃんのことを嫌ったりはしてない。ただ、辞める自分が仲良くなると寂しくなるだろうからって……」
「やっぱり杏奈先輩は優しいんだね」
「うん。だから、奏ちゃんが悩むは必要ない。私は盗み聞きをしてしまって、そのモヤモヤから自分勝手に動いていただけ。もちろん、奏ちゃんのためでもあるけど。それは自分が動くための言い訳やったから」
言えることを言い終えてしまい、みなこは言葉を詰まらせた。反応もなく、奏はゆっくりと階段の方へ歩き出す。
「奏ちゃん帰るん?」
「うん。もう下校時間過ぎてるから……」
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