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もー、と語気を強めた奏の肩を掴み、「うちはかき氷が食べたい!」と七海が顔を覗かせた。真っ白な氷の山を想像して、みなこは思わず両手で肘を抱える。
「流石に寒くない?」
「そうかな? めぐとはんぶんこしたらイケるやろ」
「なんで私も食べることになってんの?」
ケラケラ、と七海の楽しそうな声が、逆瀬川駅から伊和志津神社まで続く住宅街に響いた。人並みはまばらだが、みんなお祭りの会場へと向かっている。人の流れについていけば、神社への道に迷うことはなさそうだ。この辺りは五月にあった「花と音楽のフェスティバル」で訪れた末広公園に近い。つまりは、みなこの地元ではないのだ。じゃあ、どうしてわざわざこっち側のお祭りに来たかと言うと――
「あ、おった」
「こっちこっちー」
おそろいのタートルネックのセーターを来た沖田姉妹がこちらに手を振っていた。里帆の隣には杏奈も一緒だ。今日の双子の見分けポイントは、セーターの色らしい。赤が里帆で、緑が美帆。「お疲れさまでーす」と七海がはしゃいだ声を飛ばす。
「誘って頂いてありがとうございます」
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