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美帆が頬を搔きながら少し恥ずかしそうに答える。突然咲いた恋バナに興味を示したのは奏だけではなかった。今度は、佳奈が頬をほんのりと赤らめながら、ぐっと美帆の方に身体を寄せる。
「どっちが告白されたんですか!」
「告白してきたんは向こうから……って、恥ずかしいからあんまり質問してこんといて!」
迫る二人を拒むように美帆は左右に首を振る。残念そうに二人はしゅんと眦を下げた。いくら付き合っているのが自明なこととはいえ、大勢の前で馴れ初めを聞かれるのは恥ずかしいに違いない。
里帆が首元にまとわりつくセーターを持ち上げながら、美帆の方へ顔を覗き込ませた。
「美帆は、健太先輩が受験生やから遠慮してんねんな」
「そんなこと気にしてたら遊ばれんのちゃう?」
そう言って小首を傾げたのは杏奈だ。真っ白いシャツにアイボリーなベストを合わせている。襟元に彼女の頬がぶつかりシャツにシワが寄った。
「うーん……、でもやっぱり勉強の邪魔はしたくないし。それに今はまだ部活で会えるから」
「でも、来年は美帆が受験生やん? それに健太先輩は卒業するし、部活で会えてた時間もなくなるで」
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