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「なんのために学年リーダーとかを決めたと思ってんの?」
「……そうですよね」
役職を受け入れた時点で覚悟はしていたが、稼働は三年生が引退してからだと聞いていたので少々驚いてしまった。
「川上先生は用事があって今年は引率出来んらしいけど、……向こうに保育士の方がおるから大丈夫やと思う」
例年のことなら向こうも勝手が分かっているはずだ。「子どもたちに楽しい曲を聞かせてあげて」と憎ったらしいくらいの笑みを浮かべて、美帆がめぐの肩を掴んだ。
「曲はどうしたらいいんですか?」
背中にひっつく先輩に困った表情を浮かべながら、めぐがため息混じりにそう告げる。
「選曲は任せるけど……、」と話し始めた里帆の視線はじっとめぐの背後を捉えていた。
「出来れば、保育園の子らも楽しめるような曲にして欲しいかな」
「保育園の子らが楽しめるジャズですか?」
「なにも本格的なジャズの曲じゃなくてもええねん。アニメの歌とかそういうのをジャズっぽくアレンジしてくれれば」
「……アレンジですか?」
そう言いながらみなこが佳奈の方へ視線をやると、彼女はコクリと頷いた。
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