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金の燭台とはかつてあった七大国の印、――象徴だった。
実際にあるんだかどうかまでは知らない。
建国が最も旧い、このエフェゾ皇国が第一位の座に就いていた。
志條が指を解き、雅塚を促す。
「どうぞ、こちらです」
「ありがとう」
先立つ志條に、雅塚が付き従う。
一度だけチラリと後ろを、――おれを振り返った。
おれは笑ったままでいた。
志條と雅塚との後ろ姿が完全に視界から消えてから、おれは二人の後をゆっくりと追い始めた。
犬か狼かになって、獲物を付け狙う気持ちそのままだった。
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