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宣言通り、バスドラムで練習する莉子。
フルートの準備が出来た由貴とホルンを構えた夏美で、課題曲を合わせた。
パートの基礎練習は放課後やるので、今は何を演奏しても自由だ。
何せ自主練なのだ。
「あーああ、は、やくー、じ、ゆ、う、きょくを、や、り、たいー。」
「ぶはっ!やめい!莉子!リズムに乗せて言うのは!」
「覇者様、止めてー!演奏にならないー!」
バスドラムを鳴らしながら、楽譜通りのリズムと共に莉子がぼやく。
こういうとき、口が自由になるパーカッションならではだが、普通は練習中にこんなことはしない。
仲のいい友達と好きに練習しているという状況だったから莉子もつい口にしてしまったわけだが、真面目に演奏し始めた夏美たちはたまったものではない。
夏美が吹き出し、由貴も演奏が続けられなくなった。
「いやいや、これも修行だと思えば。」
「修行なんていらんわー!」
「練習でしょ、練習。莉子、次に合わせている最中に変なこと言ったら明日のお弁当のおかずを1個ずつ私と夏美に献上ね。」
「そ、そんなあ!」
由貴の提案に莉子はもうしゃべらないと約束するも、なにせ箸が転んでもおかしい年頃である、合わせ始めてすぐに今度は3人で笑い出した。
「ちょ、私何も言ってない!」
「さっきのが頭の中に浮かんでくるー!」
こうして昼休み中きゃあきゃあと騒ぎながら練習した莉子たちだった。
午後の授業の10分前に終えて片付けながら、莉子が「明日は他の子も誘おうよ。」と提案した。
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