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思い切り息を吸い込むと、肺が冷える。
それでも、彼女は叫ばなければならない。
嬉しい時も、いや、特に悲しい時、苦しい時、腹立たしい時、やり場のない感情をいつも吐き出してきたように。
「先輩のバッキャロー!!」
両手の拳を握りしめ、莉子は叫んだ。
一度叫んだら、もう止まらない。
「乙女の恋心を返せーっ!」
「でも、かっこいいーっ!」
「好きだ好きだ好きだぁぁぁぁ!!」
「嫌いになりたいーっ!!」
高校の卒業式の日。
莉子は失恋をした。
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