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受付のところで愕然としているのは、莉子だ。
「嘘だ・・・この金額は間違いだ・・・」
シートピア日本海、莉子が住んでいる市にある水族館。
日本海側有数の規模だの、体験・学習ゾーンが充実していて子供達の教育に貢献しているだの、海だけじゃなく川魚も充実しているだの、数々のアピールポイントはあるものの。
「前に来たときは600円だったのにー!!」
小中学生までは600円。
高校生以上は大人と同じ料金、つまり1500円。
倍以上違う金額に、莉子は絶叫した。
確かに高校生になってかた初めてなので、オルトレトンと水族館見学の計画を立てたときに料金は2人合わせて1200円だな、ちょっと財布に痛いと思ったのだが、それどころではない。
今回ありがたいことにオルトレトンには海で拾った財布があり、自分の代金は自分で出すと言い切っているので助かるが。
『2人で1200円だと思ってたのに、1人で1500円てどういうことだぁぁぁ!料金決めた責任者ぁぁぁ!!』
「吠えんなよ、狛江。言い出しっぺのおまえが金持ってねえの?おごってやろうか。」
半ば呆れ半ば同情しながらの奏斗からの申し出に、莉子はキッと睨む。
「だって・・・!王子は高いと思わないの!?てか、急に来てお金あんの?」
「サイフケータイ使えるようにしてあるしな。あと、クレジットカードはまだ持たせられないから万が一用に持っとけって言われて1万円札隠しとけって預けられてる。」
「1万円!このブルジョワめー!」
うちなんか自力で生きろって教育方針だよう!と嘆きながら、莉子は自分の分の料金を払った。
オルトレトンも自分で出す。
随分と減ってしまった財布の中身に、「莉子の言うとおり、金はすぐになくなるんだな。」と呟き、「レンもそう思うよねえ」と莉子は同意したのだが、人間である奏斗とではなく元が人魚のオルトレトンと同じ感覚であることに、莉子は気付いていない。
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