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なんだか妙な方向に話が逸れかけたところで、ふらりとオルトレトンが現れた。
「二人とも何をしているんだ。喧嘩か?武器使うか?」
へ?とぽかんとした奏斗を放って、莉子はオルトレトンの腕をぐいっと引っぱった。
オルトレトンの顔が下がってきたので、その耳元で囁く。
「武器ってあんたのあの銛じゃないでしょうね。人間は魚を突く銛で喧嘩なんかしないし、そもそも私も王子も喧嘩してないから。」
ペットボトル飲料の代金支払いで高校生が殺傷力のある武器を使用など、とんでもない騒ぎである。
それに、莉子も奏斗も銛なんか持っていない。
「てっとり早く勝敗がつくぞ。」
「そもそもあんたが金を落としたのが悪い!」
「待てよ、レンさんは悪くないだろ。おまえ、生まれて一度も金落としたことねえのかよ。」
莉子の理不尽な文句に、奏斗がかっとなって反論する。
「水族館の中庭ではない!」
「そういう問題じゃねえよ!」
そういう問題ではない、問題ではないのだが、互いに引けなくなっていく二人。
すると、オルトレトンが何やら考えて、提案した。
「棒がついているやつ。」
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