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「は?」
「な、何言い出すの。」
「白いものに乗せられていて、棒がついていて、茶色っぽいもの。さっき他の男女がそこに黄色と赤い薬のようなものをかけて食べていた。」
「茶色っぽくて棒がついてる?」
「黄色と赤をかけ・・・わかった!アメリカンドッグだ!そうでしょ、当たりでしょ!」
「あー、そうか!マスタードとケチャップか!」
「待っていろ。」
そう言うと、オルトレトンはすたすたと歩いていってしまった。
莉子と奏斗は顔を見合わせ、それから追いかける。
オルトレトンはスタジアム近くのワゴンの売店の前にいた。
ゴールデンウィークの集客を目当てに、ファーストフードの露天もいつも以上の数が臨時にに開店し、賑わっている。
そのワゴンはアメリカンドッグの他にフライドポテトやチキンナゲット、飲み物などを売っていた。
オルトレトンは、アメリカンドッグの写真を指さし、それから指を三本出して注文した。
代金は財布から千円札を出した。
コンビニであれば200円でおつりが来る安さだが、水族館などの施設で販売しているものはもう少し高い。
それでも、千円札でおつりが来た。
オルトレトンは今度こそ落とさないように釣り銭を仕舞うと、ちょっとだけ首を傾げ、それからおもむろに置いてあった容器を手に取り、3本ともにたっぷりマスタードとケチャップをかけた。
加減というものを知らないでかけているので、もはや本体が見えないくらいの量に、莉子も奏斗も「わーっ!」と叫んでオルトレトンの手を取って止めた。
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