22人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくザワザワとした店の声を聞いた。
「それにしても混んでますね。今日。」
「そうだね。休日ということもあるし、最近は野菜や肉が高価だっていうこともあるだろう。どうも今年は不調らしい。ここは一律して安いからね。」
「ああ…。ニュースでそんなの言ってたな。」
「全ての事には原因がある。とても初歩的なだ。」
「へぇ…。やっぱ探偵ってすごいんですね。」
「単なる好奇心だよ。キミでもできる。一番難しいことは謎を解く事ではなく、謎を謎だと認識すること。即ち謎を見つけることさ。」
「謎を…見つける…?」
「そうだね。例えば、隣の席の家族連れを見ておくれ。あれを見て何か思わないかい?」
「何か…?」
家族連れ…。
両親と女の子1人、男の子1人の家族。
特に変わったことはなくて幸せそうだ。
「…うーん…?」
「なんでもいいんだ。純粋な疑問で。」
「じゃあ…あのくらいの子供だから、両親は30後半くらいかな…とか?」
「成程。他には?」
「えっと…男の子が女の子にデザートあげてるから…お兄ちゃんなのかな…とか。」
「成程。他には?」
「う、ううん…ええと…」
そんなにすぐと言われても…
困っていると探偵さんは、また、ふむ、と頷いた。
「いいよ。なかなかいい。だが、まだまだだ」
「…すみません…」
最初のコメントを投稿しよう!