待ってるだけでも、考えているだけでも

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「謝ることはない。これから少しずつ、疑問や興味を周りに向けるだけでいい。 …そうだな、例えば。」 探偵さんは、細い指を動かして家族連れの方に軽く向けてから、普段は寡黙なはずのその口を忙しなく動かし始めた。 「…母親と見られる人物の持っているバッグはブランド物だ。つけているネックレスやピアスからしてもかなりのブランド好きだろう。 だが、同時に化粧は薄めで、髪は染めていないし奥の方にビジネスバッグがあるところからキャリアウーマンでもある。 だがそれだけでは足りない。 父親も働いているだろう。母指…つまり親指と手のひらを見てみるんだ。かぶれとマメがある。 あの位置に出来るのは大方漆塗りなのだろう。 ところどころと皮膚が硬くなっている。 かぶれ続けて耐性ができたんだろうね。 だが2人の子供を養いながらブランド物となるとまた少し厳しい。 じゃあどうするか。 あの子供たちコロコロと表情を変えて、でもかなりリラックスしているようだ。 食べ方も綺麗だ。だが、店の中で帽子なのはいただけない。 そうまでする理由は何か。 あの2人の顔はどこかで見覚えはないかい?」 そこまで言われて、目を凝らしてじっと2人を見つめた。そこでやっと俺は気がついた。 「あの子達…子役の…」
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