待ってるだけでも、考えているだけでも

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「ああ。共働きならぬ一家働きというものなのさ。児童労働はなんとやらとはよくいうものだ。」 そこまで言ってから探偵はコクリ、とコーヒーを飲む。 「…すごい。」 ポロリ、と言葉が口から飛び出した。 「探偵さん!凄い!全然気がつかなかった!すらすらってそんなに推理しちゃって!…それに、とっても…とっても!なんかカッコいい!」 興奮で我を忘れて、少し大きな声で話してしまった。家族連れが不思議そうにこちらを見てきて、あ、と恥ずかしくなる。 「ご、ごめん…俺、つい…」 「…いや。気にしなくていい。」 怒っているだろうか。 不安になってちらっと探偵さんを見るが、 どうも怒っているわけではなかった。 それどころか、落ち着きなく重ねた指を組み替えたり離したりくっつけたりして。 これは… 照れてるのか? 「こんなものは凄くともないさ。僕の姉ならきっと名前や出身さえも見抜くだろう。」 「姉?お姉さんがいるの?」 「まあね。あまり会ってはいないが。」 なんだろう。 名前も知らない探偵さんが初めて明かしてくれた事実。 それはなんだか、ゼリーの表面の外へと拒まれていた存在をそのゼラチンの中にスプーンを差し入れていくような。 それにしても、姉弟そろって頭がいいのか…。
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