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探偵さんは、チリン、とベルを鳴らして、
またコーヒーを頼んだ。
「そういえばお昼は済ませたんですか?」
「ああ。まあね。数分前に。」
「でも…俺ばっか食べててなんか申し訳ないような気が…」
「食べながら話せるほど、僕は器用じゃない。だからさ。」
…つまり、やっぱ原因って俺なのか…?
そこでふと、小さな疑問が頭を掠った。
「…あれ?」
気のせいか?
それとも、いやまさか。
そんなことあったらもはや不思議でたまらなくなってしまう。
「どうしたのかな?」
探偵さんがこっちを見る。
全てを見透かされているような瞳に、俺は恐怖よりも好奇心が勝った。
「もしかして探偵さん、俺と話したかった?」
「先程、そう伝えた筈だが。猫の様子を聞きたかったと。」
「じゃ、じゃあ…俺がここに来るのを分かってた…とか?」
探偵さんは、ぱちくりと目を瞬かせて。
にやりと笑った。それは、嬉しそうな楽しそうな上品な、でも子供みたいな顔で。
「何故?」
「いや…それは…なんとなく。」
「ほう…。ほうほう!なんとなく、ときたか!」
探偵さんはいつもの調子を崩して、楽しそうに話し出した。
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