待ってるだけでも、考えているだけでも

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「人は無意識にファクターを集めるという。 成程。その疑問は正に、謎を謎と認識した的確な問いだ。なかなかやるじゃないか!」 「ど…どうも…?」 これは褒められている…のか? 「では謎を解き明かす前に、そのファクターを見つけよう。証拠は何よりも必要さ。 犯人を問い詰める武器となる。 僕は探偵だし、仮に犯人の立場であると仮定しても犯人が自分を捕まえさせる為の武器を作らせるというなんとも間抜けな展開だがそれはそれ。新たなる探偵の誕生かもしれないのだからね!」 探偵さんは妙に饒舌になって、とても機嫌がよくなっている。だが、残念なことに俺の頭はそこまで働いてはくれない。 うんうん、と悩んでようやく絞り込んだのは少しの違和感だけだった。 『混み合っている中で待つのは退屈だろう? それに僕が誰かを待っていたのなら、相席など頼まないさ。ここは2人席だし、依頼人の話を聞くときに邪魔になってしまうだろう?』 『ただ、キミの言っていることもあながち間違いではないさ。僕も1人で食べるのには飽きていたし、キミの猫の事も聞きたくて。』 「…まるで、俺が来るのを知っていたみたいな口ぶりでしたね。」 「そうかな?僕は本当に退屈で暇だったから、手当たり次第に話し相手を欲しがっていたのかもしれないよ?」
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