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顔面強打。
「痛ぇええええッッッ!!??」
夢なのになんだこの異常なほどのリアルは痛み!!
鼻血出てないのすごい!夢だからか!
「ご、ごめん!大丈夫かい!?」
馬の上から降りてきたのは、牧場のおっちゃんでもなく見知らぬ亜麻色の髪のイケメンだった。
てかなんかすごい格好してるんですけど。ハロウィンはもう随分前に終わったぞ。
「ああ…よかった…そんなにHPは減ってないね…」
「は?」
下手すれば死んでたっての!!人の命をゲームみたいに表してんじゃねえ!
「けど、やっぱり心配だからヒーリングしとくよ。
じっとしててね。」
「ナニイッテンノ——」
俺が言葉を言い終わらないうちに、ぽわ…と青年の手から光の球が現れた。
コイツなんでLED電球しこんでんの。
リアルETごっこしようぜ。
「よし、これで大丈夫。」
「大丈夫って……、あれ…痛みが…」
「ただの治癒魔法だよ?どうしたの?そんな顔して」
チユマホウ?魔法?今、コイツ魔法って言った?
「あの…マジシャン…とか手品師?」
「…魔字…テジナ??…それにしてもなんでこんな所で寝てたの?道で寝るなんて危ないよ。」
「いや…俺だって好きでここに寝てたわけじゃ…」
ない。と続けようとすると、青年の隣に落ち着いていた黒い馬がまたヒヒンと鳴いた。
「わ、わわ…どうしたの?黒ノ介…」
クロノスケ?と呼ばれた馬が口に咥えているのは、俺が地面に置いていたこけしだった。
「なんだい?それ……、木の…人形?」
こけしを見たことないのかコイツ。
そう思っていたら、青年は馬からこけしを受け取ってまじまじと見つめ、途端にハッとしたような顔をして恐る恐る俺に声をかけてきた。
「あの…まさか…もしかして、これ…君の…?」
「…まあ、俺のって訳ではなくは…ないか…。」
親父の物だけど。
そう曖昧に肯定すると青年は突然キリッとした顔をしてから俺の両腕を掴んだ。
え?なに?
「…ちょっと署までご同行願います。」
俺の両腕には鉄のワッパがかけられていた。
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