世界を半分くれるなら、俺は魔王側につく。

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酒屋に入って、ぼうっとしていると隣に座った奴が話しかけてくる…ことはない。 人助けで街のヒーローになった…ことなどない。 すれ違ったモブ顔に「うっわ…」と言われることは…多々ある。 そのほとんどは俺の目が死んでるからなんだけど…いや、死んでない。濁っただけだ。まだ浄化できる。…多分、きっと、うん。 目以外は割とイケメンなのではないか?と鏡に向かって独り言を漏らした時のあの周囲の不審者を見る目つきは忘れられませんね‼︎ …やめよう、泣きたくなってきた。 「また辛気臭い顔してんなぁ…」 「ひ、ゅ⁉︎ごほッ…⁉︎ごっほッ…⁉︎ま、マスター…急に話しかけて来ないでくださいよー…心臓止まるかと思ったデス」 「そりゃ悪かった。どうにも長い馬鹿みたいな独白をしてるみたいだったからね。」 なぜバレた。 この俺に話しかけてくるダンディーなお方は、ここの酒屋の店主さんだ。 モブにも優しい数少ない俺の知り合いである。 「…で?仲間は見つかったかな?」 「知ってる癖に聴きますか…?俺のさっきの反応見て分かったでしょうに…」 「やっぱりかい…」 「…。」 そんなやれやれみたいな顔されてもイラつくだけなのですがマスター。無駄にイケメンなのが更に拍車をかけるのですがマスター。
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