さよならの、その前に

6月

　9月だったはずの体育大会が、テストとかの関係で、６月になった。種目を決めたり、大縄跳びの練習をしたり…。

　そして今日、当日です。

　グラウンドに向かうときに、聞こえてしまった。男子の８００メートルリレー。302は、選手だった子が１人休んで、代わりに補欠だった君が出場するらしい。

　え…。応援はしたいけど、文化部だからねえ、３年間。２００メートル走る体力、なさそう。

　私は、走り高跳びでなんと１位になり、ほくほくとした気分でお昼をむかえた。午後は、生徒会種目が終わると男女のリレーになる。

　生徒会での進行を終え、応援席へ戻ろうと歩いているとき、招集場所にいる君が見えた。一回も練習してないからか、他の子よりも緊張して見える。応援したい。その思いが、わきあがった。

　私は君のそばに寄っていき、肩をとん、と突く。

「がんばってっ。」

　驚いた顔をされたけど、
「ありがとう。」
そう言ってもらえた。

　勇気を出せたことがうれしくて。
　君の声が、うれしくて。
　大好きだなあって思うんだ。