4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
7月
受験。その言葉を、よく聞くようになった。部員の子たちも、塾に行くようになった。私は塾に行かない。県ではトップクラスの高校には、行くつもりだけど。
君は、どうするのかなあ。っていうか、塾とか、行ってるのかな。そう思っていた矢先、知った。
音楽室のカギが開くのを、廊下で待っていたとき、近くで友達と話していた君の声が聞こえた。
「今日、塾なんだよね。」
耳を疑った。その塾の名前に。そしてなぜか、親友と君の顔を交互に見た後、変な声を出す。
「じゅ、塾…行ってるの…!?」
その思いっきり裏返った声に、君の友達が苦笑いする。
「そうだけど…?」
その返事はほぼ聞かずに、私は頭の中で叫んでいた。
(塾、塾、塾…君が!絶対寝てそう!)
最初のコメントを投稿しよう!