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……嫌な風だ。
木に寄りかかって座りながらそんな事を思う。
見上げれば空の色も何だか濁っていて、不穏な予感がしてならない。
「……で、……だ!」
ざわざわと騒ぐ人の声が耳に入った。
聞こえてきた方向へと視線を向ければ、この丘の下で大人達が屯って、何かを話している。
この距離だと、何を話しているのかは分からない。
けど、大方予想はつく。
いい加減にして欲しいものだ。
ただただ平穏な暮らしをしたいだけなのに。
戦争や何だ、領土が何だ。
巻き込まれる身にもなって欲しい。
早く、この窮屈な世界から解放されたい。
目を閉じて、そんな事を考えていたせいか。
「何サボってんの。」
ひょいっと、突然現れたその存在に気付けなかった。
……ああ、最悪だ。
よりによって、こいつに見つかるとは。
そんな事を思いながら、しれっとした顔であたしは答える。
「人聞きの悪い事言わないでくれませんか?」
そうして、肩の上に置かれたその手をぺしっと軽く払う。
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