母屋の火事

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 二人で泣いていると、店の方から大人たちが走ってきた。 「カヤ!トヨ!良かった、無事で良かった。生きてて良かった・・・。」 二人の姿を見た暁は二人に駆け寄ると思い切り二人を抱きしめた。 「カヤが燃えてるんじゃないかって、トヨが死んでるんじゃないかって気が気じゃなかったんだ。あんたたち二人とも失ったら私も生きてられないよ・・・。」 暁は泣いていた。他の皆も安心したように「良かった、良かった」と言っている。先ほどまで泣きじゃくっていたトヨが、皆から隠れるようにカヤの後ろに抱きついた。ほっとしている大人たちの顔と、大人たちを警戒しているようなトヨの顔。ふつふつと、カヤの中で何かがわき上がってくるのをカヤは感じていた。 「・・・ったくせに。」 「ん?」 「トヨのこと、諦めろって言ったくせに!」 がばっとカヤは顔を上げて暁を見る。皆が驚いた顔になった。いけない、と思ったがカヤは自分を止められなかった。 「トヨのことは諦めろって、もう手遅れだって言ったくせに!あたしまで死ぬことないって言ったくせに!なんで?なんでそうやってトヨの目が見られるの?トヨのこと抱きしめられるの!」 気が付けばカヤはトヨを皆から守るように自分の胸の中に閉じ込めていた。 「トヨ、一人で部屋の隅にいたんだよ!火の中降りてきたのに誰もいなかったから、どうすればいいかわかんなくて、横で火が燃えてるのに動かなかったんだよ!怖かったのに・・・怖かったのに誰も助けてくれないから、ずっと一人で怖くて動けずにいたんだよ!」 トヨを抱きしめながら、カヤはわぁーっと言葉にならない声で泣き叫んだ。トヨはカヤの胸に顔を埋めたまま、ぎゅっとカヤに抱きついていた。
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