カヤとトヨ

4/4
前へ
/35ページ
次へ
 トヨの絡まった髪の毛は暁の手により綺麗に切りそろえられた。前髪は眉毛のあたりまで、後ろ髪は肩に付く程の短さで、トヨの表情が先ほどよりも明るく見えた。 「前髪、あたしと一緒だね。おそろいだよ。」 カヤが嬉しそうにトヨの頭を撫でた。トヨは相変わらず笑わないが、少し頷いたのを暁は見逃さなかった。 「良かったね、トヨ。二人ともきっと良い姉妹になるよ。トヨはカヤのことを姉と思って、カヤはトヨを妹と思って、お互いがお互いを大事にするんだよ。」 「はい!」 カヤが元気よく返事をすると、トヨも小さな声で「はい」と返事をした。初めての返事だ。カヤはますます嬉しくなって思わずトヨを抱きしめた。  それからというもの、カヤとトヨはいつも一緒に行動するようになった。朝起きるときも食事のときも、稽古も風呂も厠までも、できる限り一緒に行動した。最初は無口だったトヨも少しずつカヤや暁に話すようになり、カヤもますますトヨを可愛がった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加