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トヨの絡まった髪の毛は暁の手により綺麗に切りそろえられた。前髪は眉毛のあたりまで、後ろ髪は肩に付く程の短さで、トヨの表情が先ほどよりも明るく見えた。
「前髪、あたしと一緒だね。おそろいだよ。」
カヤが嬉しそうにトヨの頭を撫でた。トヨは相変わらず笑わないが、少し頷いたのを暁は見逃さなかった。
「良かったね、トヨ。二人ともきっと良い姉妹になるよ。トヨはカヤのことを姉と思って、カヤはトヨを妹と思って、お互いがお互いを大事にするんだよ。」
「はい!」
カヤが元気よく返事をすると、トヨも小さな声で「はい」と返事をした。初めての返事だ。カヤはますます嬉しくなって思わずトヨを抱きしめた。
それからというもの、カヤとトヨはいつも一緒に行動するようになった。朝起きるときも食事のときも、稽古も風呂も厠までも、できる限り一緒に行動した。最初は無口だったトヨも少しずつカヤや暁に話すようになり、カヤもますますトヨを可愛がった。
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