家庭科部の遠藤くん

遠藤くんのこと。

遠藤くんは陰が薄い。
話しかけるとどもるし、何を考えているか分からない。

遠藤くんは背が高い。
黒板の上の方には余裕で届くし、ジャンプをしたら天井にだって手が届く。

遠藤くんは運動神経が悪い。
野球は必ずからぶるし、サッサーボールは明後日の方向に飛んでいく。

背高のっぽのヒョロヒョロで、頼まれたら断れない遠藤くん。日直でもないのに黒板消しをさせられて、ついたあだ名が『黒板係』

かっこいいところなんか、ひとつもない遠藤くん。
けれど今日は一味違う。

4時間目の家庭科の授業。
同じ班のメンバーは、どうやらやる気がないらしい。

包丁から何から投げ出して、椅子に座ってお喋りタイム。さあ出番だ遠藤くん。

文句も言えない臆病な君には、フライパンと菜箸がお似合いさ。