遠藤くんのこと。

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こんにちは、どうも遠藤です。 白星高に進学して、高校デビューを果たそうと、希望に満ちた新一年生だったのはつい最近までの事です。 ドキドキしながら教室に入り、自分の席に着くところまでは上手いこといっていました。 しかし問題はそこからだったのです。 まず聞いてください、俺の計画はこうです。 まず自分の席に座ります。 そこから適当に、持ってきた道具なんかを机に置きます。教科書は当日配られるので、持ち物は筆箱くらいです、簡単です。 ここからが重要、目の前に活発なクラスメイトが座り、挨拶をしてきます。 そして俺は挨拶を返すのです。 するとなんて事でしょう、高校生活3年間運命を共にする大親友の出来上がりです。 なんてシンプルな計画なんだ、我ながら頭を疑うね。 ともかく、俺の計画上絶対的に必要な存在、それは目の前に座る予定の愉快な親友です。 満を持して出席番号を確認し、自分の席に座ります。 計画通り机上に筆箱を出し、目の前に座るはずの親友を待つ…… しかし親友はこない!楽しげに会話するクラスメイトたち、しかし親友は来ない!何故だ当たり前だ! 何故なら俺が出席番号1番だから! なんでだよ!あ行で圧倒的後者に存在する遠藤がなんで1番なんだよ! 俺は悔しくて歯噛みした。 現に隣のクラスには青木がいたぞ、なんでうちのクラスじゃなかったんだ青木! 友達になってよ、話しかけてよ! あんなに練習した自分の名前が、憎らしい。裏切られた気分だ。 しかし神は味方した、なんと俺の後ろにも座席がある! なるほど、親友が欲しければ自分から話しかけろということか。 無駄に腰回りの柔軟を繰り返し、後ろに座る友を待つ。 俺は友達になる人の名前はあらかじめ覚えておくタイプの人間だ。だから知っている、後ろに座る友の名前は尾崎だ。 (俺の名前は遠藤ですよろしく。俺遠藤よろしくな。マイネイムイズ遠藤、ヨロシーク) 大丈夫、3日前からずっと練習していたんだ、絶対うまくいく。 そしてやってきた尾崎くん。 なんと教室に入る段階で既に友人が出来ています。ワイワイと3人で後ろの席に来るものだから、先ほどまでとは打って変わってとっても後ろが賑やかです。 混ざりたい!俺もその中に入れておくれ! 決死の思いで振り向く俺。 そんな俺に、3人の男子がギョッとします。 「あ、えっと……あの」 こんな時になんたるザマだ! 尾崎くんが引いてるじゃないか! 頑張るんだ俺、自己紹介しろー! 「ええええ遠藤…デス」 尾「根暗かようぜー、話しかけんな」 「ごごごごめん!」 おかしいな、家では普通に話せるのに、なんで人前だとどもるんだろう? 見事に人見知りが発動した俺は、カースト上位になるであろう男子から、登校初日でうざい奴認定されたのでした。 という事で現在。 高校に進学しても友達が1人もできまま、一週間が経ちました。ここまでくれば仲良しグループは決まったようなものですね。 ちょっと泣いてきていいですか?
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