家庭科部の遠藤くん

遠藤くんのこと。

すみません、取り乱しました。

慣れ親しんだぼっち生活ではありますが、別に好き好んで孤独を貫いているわけではないのです。

さて時刻は昼前の四時間目、密かに楽しみにしていた家庭科の授業。

今日は、クラスを6つに分けた各々の班で、昼ごはんを作りましょうという内容の授業です。

“お願い”されて買ってきた材料を片手に、足取り軽く家庭科室へ向かいます。
願わくば、役割分担という名目で、コミニケーションでも取れればと、少しわくわくしています。

さて、俺が所在している1班は、男子が2人女子が3人の見事な尻敷かれ班なのですが、料理のメニューを決める段階でそれが顕著になりまして、本日のメニューは全て女子のリクエストに寄り添ったものとなっております。

一品目、ポテトサラダは安達さんが選びました。玉ねぎなし卵入りが良いとのことなので、材料もそれに合わせて買ってあります。

2品目はオムライスで、井手さんたっての希望です。どうやらフワトロな奴が食べたいらしく、作り方を動画サイトで検索すると意気込んでいました。

3品目はお味噌汁で、これは指定されているやつですね。採点の基準になるので、見栄え良くしたいと宇田さんが申しておりました。

ここまで決まったところで、隣の班の女子が参戦しました。
こちらに女子が3人なので、必然的に2班は2人になってしまい、あちらはどうやら男子主体で進んでいるみたいなので仕方がないのかもしれません。

そして決まった四品目、江川さんと小野さん一押しのスイートポテトに決定です。

とても楽しそうに決められていく料理たちを前に、たぶん味噌汁とは合わないと思うよ、とは言えませんでした。
炭水化物に偏ってない？とか、卵そんなに食べて大丈夫？とか言えませんでした。

幸せそうな彼女たちの前でそんなことを言うなんて俺にはとても出来ません、野暮というものです。きっと尾崎君も同じ思いだったと思います。

ところで皆様お気づきでしょうか？
女子に、あ行が豊富なことを。

人生とは上手くいかないものですね。