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さて、人生とはなんたるかを考えていたら、あっという間に家庭科室です。
教室にちらほらと集まっているのは、真面目組のクラスメイトで、我が一班のメンバーはまだ一人として来ていません。
しかし俺はできる男遠藤です。
今のうちに、材料をメニューごとに並べてしまいましょう。
ビニール袋の重みから解放された手のひらが、ジンジンと痛みますが、これから始まる授業の喜びの一部だと思えば楽しいものです。
ぐっぱと痛みを和らげ、広げられた材料が揃っていることを確認していきましょう。
ポテトサラダ用の男爵と、卵、きゅうり、にんじん、マヨネーズもこっち。
オムライスはケチャップライス?それともベーコンライス?和風で行くならベーコンライスで、大根おろしとポン酢かけて食べるのもおすすめですが、迷いに迷った末、材料費の都合上、本日はケチャップライスオンリーです。
家庭科室では、あらかじめ確認していたとおり基本的な調味料はちゃんと用意されていました。
2班で共有して使うことになっているので、使うたびに定位置に直さなきゃいけませんが、他の材料はちゃんと並べてあるので、きっとみんなやりやすくて喜んでくれることでしょう。
なんて気がきくんだ、素晴らしい、よくやった遠藤!
これできっと班の人とは仲良くなれます。
手際よくいけば余裕ができて、もしかしたら2班の人たちとも会話できるかもしれません、なんて素敵な計画なんだ!
準備も終わって予鈴5分前、首を長くしてみんなを待ちます。
みんな早く来ないかなー。
予鈴がなるちょっと前、安達さんたちは2班の友達と連なって5人でワイワイやって来ました。ギリギリだったねーとか言いながら、席についてセーフって言って笑ってます。
わー!わー!それいいなー!俺もいつかやりたい!
そして未来の親友尾崎くん。見事に予鈴に間に合いませんでした。6人ぐらいで廊下ダッシュしてて、家庭科の先生に教室前で怒られています。
友達同士で小突きあって、お前のせいだとかなんとか言ってます。
先生に注意されて、口を揃えて謝ってます。
「まったく、廊下走ったこともだけど、遅刻よ?なんで遅れたの?」
「いやー、チャイムギリセーフ競争やってたら、みんな教室からなかなか出なかったんで遅れちゃいました!さーせん!」
「そもそも走ることがダメなんだからね、次はないわよ」
「「「はーい」」」
………なんだそれ、なんだよそれ、青春じゃんか!
俺も誘ってよ!荷物持ったまま走ってクソ遅えとか言われたいよ!絶対ドベだけど誰より楽しむ自信があるよ!なんなら泣いて喜ぶからさ!
「遠藤くんにも謝るのよ、1人で準備してたわ」
「ういっす」
突然名前が呼ばれてびっくりする。
あ、尾崎くんと目があった。
「チッ」
「だ、だいじじじょうぶだよっ!」
くそうっ!この授業で挽回して、絶対友達になってやるんだからな!
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