手相占いのオバさん

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椅子に座って私の番を待つが、一向に私の番が来ない。占い師たちの前には椅子がずらりと並んでいたのだが、それでは間に合わず立って待つ人も出始め、いつの間にか並び順もフォーク並びになっていた。何気なく列の先頭を見てみると、どうも年輩の女性が娘さんらしきアラフォーくらいの女性と二人一組で延々と相談している。タダの割にサービスがいいのは結構だが、私たちの待ち時間はどうなるのだろう。ここまで来たのであれば諦めて帰るわけにもいかない。 ここで店員さんが葉書大の紙を持ってやってきた。なんでも、鑑定の参考にするために名前と相談したい内容を記入してほしいとのことのようだ。あまり字がきれいな方ではない私は、どうにか悪戦苦闘しながら店員さんにその葉書を手渡した。さらにそれから30分は待っただろうか。ようやく 「えー…碧海緑子さーん」 と派手なオバさんが私を呼んだ。幸いオバさんは香水臭くない。私は引きつった顔で挨拶をし、まじまじとオバさんを眺めた。やたら明るい水色のアイシャドウが印象的だったが、鑑定歴は30年以上あるらしい。オバさんは私の書いたものを見ながら、両手を出すように言った。私は手相といったら虫眼鏡を連想するが、オバさんは肉眼で私の両手を隅々まで見ていた。
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