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「で?お悩みは?」
とオバさんは私の手を凝視したまま尋ねた。ついさっき紙を渡した気がするが、今は手相に集中したいのだろう。
「その…結婚したくて婚活してるんですが、なかなか上手く行かなくてですね…」
オバさんは私の手相から視線を外らすことのないまま、私の手相を舐め回していた。するとオバさんは素っ頓狂な声で
「え?そうなの?あなた、婚活している割にそこまで結婚したいって本気で思ってないわよ」
と言ったのだ。これには驚いた。本音の私は結婚したくないのだろうか…婚活パーティーや街コンに通っているのに、結果が出ない理由がこれなのだろうか。
「結婚したいんです。婚活もけっこうしてて…」
「う~ん…でも結婚はできませんよ。なんかこう、将来の相手が全く見えて来ないのよ」
ズバリ結婚はできないと言われ、私の中で何かが音を立てて崩れ落ちた。こんなことなら、金運を見てもらえば良かった。私はいつまで街コン体験記を書き続けることになるのか…しかし、このままでは終われない。意を決して私はオバさんに
「あの、ではどうしたら結婚運が来ますか?」
と聞いてみた。オバさんは「諦めが悪いわねぇ」と言いたげではあったが、アドバイスをしてくれた。
「本当に結婚したいのなら、まず神様に本気度が伝わらないとダメなの」
オバさんが言うにはどこでもいいので近所の神社に行き、神様に「本気で結婚したいので、相手を授けて下さい」とお願いし賽銭箱には一万円を入れ、これを毎月行えば結婚相手が見つかるらしいのだ。
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