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待合室に戻って診察を待っていると、私は腰に新たな違和感を覚えた。痛みがだんだん痺れに変わっていったのだ。長時間正座をしていたときのようなあのジンジンである。おいおい、これはいよいよヤバくなってきたんじゃないの?神様、まだ私はやり残したことがあるんだよ。せめて一回くらい結婚したかったよ…なんてズーンとした黒いオーラを出しながら、私はこの世の終わりのような顔をしていた。
「碧海緑子さーん」
看護師さんの声で現実に戻ると、私は救急外来と書かれた部屋へ通された。救急ってことはやっぱりヤバいやつだったのか…
ところが、先生は割と深刻そうではなかった。あくまで冷静さを保っているのだろう。まだ油断はできない。
「うーん…結石かと思ったんだけど、おしっこもキレイだし、骨も異常ないんだよねぇ…」
じゃあ膵炎だよ。もうそれしかないよと、私は先生に
「あ、あの…膵炎じゃあ、ないですよね?」
なんて控えめに聞いてみた。すると先生は半笑いで
「ないない。膵炎は痺れたりしないし、膵炎なら今頃のたうち回ってるよ」
と言うのである。私は一瞬赤面したが、この腰痛の原因だけは突き止めてもらわなければならない。
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