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「…ぅ…っ…、…ぁ…」 「ひっ…、ンぅ…、嫌だっ…」 「あぁ…、っ…ぅぅ…、いぁ…」  広い部屋の中、中央の廊下の両サイドには個室がいくつも連なっている。壁があまり厚くはないからなのだろう。それぞれの個室から、少年たちの呻くような声や上擦った声、喘ぎのような声が聞こえている。  その中の一室。真っ白いシーツの上でベッドに拘束されて、遠野明日翔(とおの あすか)は165センチほどしかない男にしては小柄なその身体を捩っていた。遠野の身体に羽が這わされる。遠野は堪らず顔を横に振り、その感覚から逃れようとする。遠野が身じろぎするたびに、美しい黒髪が揺れる。こんなことをされたいわけではない。遠野は時間が過ぎるのをただ待っていた。 「…っ…、あっ…、まだ…ですか? …ぅ…」  遠野は自分の身体に羽を這わせ、冷酷な瞳で見下ろしてくる男に尋ねた。男が壁掛けの時計に視線を向ける。時間を確認した男は、ベッドの上で羽の刺激に耐え、ふくらみを持たせた屹立から染みを作っている遠野に言った。 「あと、五分だ。五分後にイカせてやる。我慢しろ」  180センチほどある背の高い男は、残り時間を遠野に告げると遠野への責めを再開する。  ——五分…。もう、嫌だ…。  遠野はしばらくの間、羽を身体に這わされたり、身体を撫でまわされたりしているのだ。残り五分という時間は本来ならば短いのかもしれない。けれど、今の遠野にとってはとても長く感じてしまう。  この時間が遠野はとても苦手だった。苦手というより嫌いと言った方が正しいのかもしれない。けれど、こうするより遠野には選択肢がなくて、遠野はただ身を任せるよりほかなかった。 「時間だ。イカせてやる」  遠野を見下ろしていた男の手が、遠野の立ち上がった屹立を下着から取り出し、あふれ出る液を塗り付けて扱きあげてくる。時間をかけて徐々に高められてきた遠野の身体は、その刺激を欲していて、瞬く間に快感が遠野を包み込んだ。 「ぅ…ああっ…も、…んんっ——」  ゆるやかな刺激とは違う、圧倒的かつ集中的な屹立への刺激に遠野の身体が硬直し、一気に弛緩した。屹立から噴き出した白濁を男が濡れたタオルで拭き取っていく。 「今日はここまでだ。シャワーを浴びて、次の授業の準備をしろ。シャワールームは一番を使え」 「ありがとうございました、冴島先生」  男は遠野に話しかけながら、遠野の拘束を解き、籠にまとめた遠野の服をベッド脇に置いた。この、背の高い男は冴島拓海(さえじま たくみ)。二十二歳とは思えない落ち着きと、圧倒的なリーダーシップを感じさせる強い眼差し。後ろに流して固めた黒髪が、余計に彼を実際の年齢よりも年上に見せているのかもしれない。  拘束を解かれた遠野は、自分の服を持ってローブを羽織ると冴島に指定されたシャワールームへと向かった。  シャワールームには遠野と同じようにローブを羽織った少年たちが、それぞれ指定されたシャワールームへと入っていく。 「遠野もこの時間だったんだ。シャワー出たら、何か飲まない?」  遠野に話しかけてきたのは、赤坂恵(あかさか めぐむ)だ。肩につきそうなくらいのこげ茶色の髪が汗で首に張り付いていて、遠野は聞かなくても赤坂も相当頑張って耐えていたのだろうことが想像できた。 「ああ、うん。じゃあ、シャワーから出たらベンチで待ってて」 「オッケー。じゃ、後でね」  指定された番号の扉を開けて、小さめの脱衣場に荷物を置く。もう一つの扉を開いて、遠野はシャワーを頭からかぶった。  ――これさえ、なけりゃいいんだけどさ…。
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