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ラ・クカラチャ、ラ・クラカチャ
歌っておくれ
ラ・クラカチャ、ラ・クラカチャ
古いギターで
「あの歌、なんだ?」
遠くから聞こえてきた子供たちの歌声に、シュンスケは耳を傾ける。
「よくわからんが、元々は俺達が壺好きだって、歌らしいぞ」
「なんだよそれ」
「知らねえよ。
俺達だって、昔はよくわかんねえのを、歌ってたじゃねえか。
ほら、笑ってしまうのはシャツなしのパンチョ」
「カランサは行ってしまう。ピリャが来るから」
「そうそれ」
嬉しそうに笑うジョージ。
シュンスケは、においを感じるように頭を揺らした。
「そんなのは、どうでもいいよ」
「お前が言い出したんだろ」
子供たちの歌は続いている。
「このコロニーで、食い物がどんどん減っていってる」
シュンスケの言葉に、ジョージも気を引き締めた。
緊張した様子で、耳を傾ける。
「その代わりに、敵は増えている。
この間来た奴は覚えてるな」
「ああ、生まれたばかりの子供たちが犠牲になった」
凄惨な出来事だった。
その生き物は、長くうねった細長い体に、何本もの足をくっつけて這うようにしてやってきた。
そして生まれたばかりの子供たちを見ると、その長い体の最後尾の足を、投げ縄の様に使い、捉え、むさぼったのだ。
奴は捉えた子供をむさぼりながら、他の子供を同時に捉えた。
シュンスケも、ジョージも、逃げることしかできなかった。
最後に見たのは、子供を守ろうと、そいつに挑んだ母親が、子供達と同じように最後尾の足で捉えられ、顎に噛みつかれた瞬間だった。
恐らく、あの顎から毒が注入されたのだろう。
噛みつかれた途端に動かなくなった母親を尻目に、あの生物は縦横無尽に最後尾の足を動かして、別の子供を捉えていた。
「昔からあいつはいたけど、その量が増えてる。
食料を探しに行くのも一苦労だ」
「ああ、その通りだ。親父達もこの間出て行って、そのままだ」
「次は、俺達の番だ」
半ば以上予想していたのだろう。
シュンスケの言葉に、ジョージは動揺を見せることはなかった。
「オーケー」
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