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エピローグ
結局この生活が半年間続いた。
何故か二週間ごとに、スーパーで買い物ができたので、食べるのに困らなかった。何か大きな力で守られている気がした。
何日か前に、あの2人の男と出会った日に飛んでいた。スーパーに買い物をした時、レシートでわかったのだ。俺は、その時間に電車に乗りに行った。少し離れた席に座り、眠りこけている俺をボンヤリ見つめつつ、男二人の降りた駅で俺も降りた。探偵気分を味わいながら、こっそり後をつけた。改札から出ると、黒塗りの車が迎えに来ていた。
「ホンマモンの坊っちゃん 」
タクシーで後をつけたが見失ってしまった。仕方がないので、諦めてそのまま家に乗っていく。俺は何をやってるのだろう……
自己嫌悪に陥った時タクシーの運転手が、
「あの車は、どこだか有名な科学者の息子ですよ。いつも一緒にいるのは、確か医者の息子です 」
「そうなんですか……?」
「知らなかったんですか?」
俺は何も言えなくなった。
この辺では有名な話らしい。
だが、ついに終わりがやって来た。
携帯のアンテナが立ち……メールの受信音が鳴り止まない中、母親から着信が入った。
「もしもし…… 大成と結女は、無事……? 」
電話の向こう、声を詰まらせながら母親が泣いていた。
それから、半年ぶりにテレビがついた。
政府の発表に寄ると、世界中の科学者、国の重要人物がとある場所に集結し、血みどろになりながら休み無く研究を重ねた結果、突如として日常が戻ってきたと。
だが、俺たちは知っていた。
未来にも飛んだから、半年後にこの騒ぎが終息することがわかっていた。
政府の発表を知った時、俺は家の外へ走り出た。大声で万歳をした。妻と子供たちも走ってきた。半年ぶりに見る隣の家族、近所の老夫婦も、皆一緒に万歳をした。
裏の単身者用のマンションからは、歓声が上がっていて、皆が安堵のため息をもらしただろう。
もしかしたら、マンションごと動いていたんだろうか。俺は、家族がいたから今日を迎える事ができた。マンションの中の住民は孤立せず、団結できたのだろうか……
明けない夜はない。
大きな苦しみを乗り越えた後には、更に大きな喜びが必ずやってくる。
この半年、負けない強い心を持つ事で、心が丈夫になった。苦難を楽しく乗り越える知恵がついた。
希望を捨てなくて良かった。
生きている。
俺たちは、生きているんだーー!!
長かったバカンスは、終わった。
明日から出勤だ。
バリバリ働くぞーー!
END
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