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楽しいドライブ
すぐ側にある家に帰り、買ってきた食材などをしまった。子供たちの感心、アミューズメントより興味を引いたこと。それは、俺がドライブに誘ったからだ。子供たちのリュックにお菓子を入れて、スーパーの出口にあるパン屋で買ったサンドイッチを大人のリュックに詰めた。ペットボトルのお茶とジュースも入れて準備した。
愛車のミニバンに家族四人で乗り込み、ナビに行き先を入れて、発車した。
道路の混雑も無く、快適なドライブになっている。この景色は半年前なのか……
半年前、俺は何をしていただろう。
前の席に乗った大成は、窓に顔を張り付けている。お得意の変顔でもしてるんだろう。通行人が笑って、手を振ってくれた。ルームミラー越しに後ろを見ると、結女は楽しそうに手を叩きながら笑っている。妻は……笑いながら泣いていた。可笑しそうに笑っているが……夫婦だからわかる。もしかしたら、行き先がわかったのかも知れない。
三時間ほど車を走らせて、目的地に到着した。そこは、だだっ広い、墓石が並ぶ霊園だ。妻の両親が眠っている。
霊園の入り口の管理事務所に、お供え用の花が用意されている。そこで、お線香とお花を買い、車に乗って近くまで進んだ。
次にいつ来られるかわからない為、念入りにお墓の掃除をした。妻の両親は、出会った頃には既に他界していた。写真でしか会えなかったが、お彼岸、お盆には必ず来ていた。
掃除を終えて、お線香に灯をともして線香置きに供えた。皆で手を合わせる。大成と結女も小さな手を合わせて、おじいちゃんとおばあちゃんに話かけていた。大成は小学校に入学した話。結女は幼稚園に入園した話。まだ、二人とも、数日しか通えていない。
お参りを済ませると、妻はスッキリしたような笑顔になった。
「パパ、ありがとう 」
俺は頷いた。
良かった。少し元気になったようだ。
子供たちがここへ来るのは、この後に寄る所も好きなのだ。先月のお彼岸は、世界中が大パニックに陥っていて、ここまで遠出することができなかった。
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