69人が本棚に入れています
本棚に追加
新しい朝
翌日の朝。
勢いよくカーテンが開けられた。
「眩しい……うっ 」
発した自分の声が、飲み過ぎの頭にガンガン響く。
「パパーー!!おはようっ 」
大成の声がメガホンで叫ばれたような響き。頭を抱えながら、いつもの日常との違い。
え?眩しい……ちょっと待て、ここは……!?
大成が笑いながら、
「ママがシャッター開けたんだよ。家の空気を入れ替えるって。」
結女も、
「パパぁ!はよ。あしゃごはんよー!」
「……ママが?」
落ち着いて部屋の中を見ると、自分の家に戻っていた。やはり、ここに帰って来るのか。大成と結女が楽しそうにベッドの上で飛び跳ね始めた。おっと、結女がコロンと転がったのを慌てて支えると、
「パパ、くしゃいーー!」
「ごめん、ごめん 」
結女を離してベッドから降りた。いつものパジャマを着ている。
窓が開いていた。外を見ると、大きな湖が見えた。ここはどこだろう…… 爽やかな風が入ってくる。空気がおいしいな。思いきり深呼吸すると、子供たちも真似をした。
「さぁ、朝ごはん、食べようか? 」
大成が手を上げて、
「食べるーー!!」
結女も真似をして手を上げた。
「たべうー!」
3人で手をつないで、キッチンへ入って行った。
「ママー。パパ、お酒くさいよー!」
大成が妻に報告した。
妻が振り返り、
「おはよう!お寝坊さん。顔を洗って朝ごはんにしましょう 」
「パパ、寝坊助だもんね 」
「だもねー! 」
俺は頭をかきながら、洗面所に入って行った。顔を洗って鏡を見る。昨日の酒の飲み過ぎで浮腫んでいるし、泣いたせいで目が腫れている。
昨日の事は、夢じゃないんだな…… もしかしたら、又過去に戻れる事があるかもしれない。ひょっとすると、未来にさえも行けるかな……
そんな事を考えながら、ダイニングへ入って行った。
最初のコメントを投稿しよう!