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「助けたみたい? どういうことだい?」
「覚えていないんだよ。相手は俺のことを覚えていたみたいだけど」
松は緋月と包みを見比べ、不思議そうな顔をした。包みは誰が見ても分かるほど高そうな入れ物であった。
「こんな有名な茶菓子をくれるような人だったのかい?」
「さあ? 相手の名前しか聞いていないから、そこまでは分からないかな。身分は武士らしいけど」
「もしかしたら、武士の中でも結構偉い地位のご子息だったのかもしれないねえ」
「どうだか。まあ、それは食べていいよ。俺は菓子があまり好きじゃないし」
「そうかい? 悪いねぇ」
松は嬉しそうに包みを自分の横に置く。緋月はお膳の前に座ると、食事を食べ始めた。
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