第二章

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 頭巾で頭を隠した少女は逃げていた。時々後ろを振り返りながら。  明るい町中を、少女は怯えながら駆け抜ける。時々人とぶつかりそうになるが、少女は小回りを利かせて素早く対処した。  ……一刻も早く京を出よう。そうしなければ殺されてしまう。  少女は恐怖と決心を頭の中に残し、町を走る。少女は顔に似合わぬ脚力で、人の合間を縫う。  だが、逃走は長く続かなかった。  頭に向かって放たれたものに少女は気づいた。苦無。昔から忍の道を進む者にとって、使われてきた暗器だ。  少女は首を傾け、暗器を避ける。だが避けたところに人がぶつかってきた。苦無は頭を傷つけることはなかったが、少女が身につけていた頭巾を切り裂いた。  裂けた頭巾は少女の頭を隠す役割を果たすことなく、地面に落ちた。  たちまち、周囲に悲鳴が響く。少女は己がこれ以上逃げられないことを悟った。  少女は雪のようなという表現が似合うほどの白い髪と、金色の瞳をしていた。 「鬼の子か」 「白い鬼の子……」  町の人々は口々に少女を鬼の子だと言う。  いつの間にか、少女は町の人に囲まれていた。  少女は一つ溜息を吐くと、目を閉じた。
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