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「じゃ、じゃあ身の安全も依頼の内容に盛りこみます!」
「それはつまり、きみが安全で、相手が快くであれば、あとはどんな成仏の仕方をしてもいいと? 一応進言しておくけど、この依頼だと、きみの大切な人が餌食になるよ」
たとえば、菓子作りのうまい従兄とか……、と緋月は怪しく笑う。どこか毒のある笑みに、信武は奥に消えた信昭を振り返った。
「俺には家族がいないから理解はできないけど、一般的には親戚が消えるのはツラいことなんでしょ? きみは? 親戚が消えても平気?」
「そんなわけないじゃないですか。家族も親戚も、消えては困ります。泣きますよ」
「じゃあ、どうする? 依頼内容を考え直す?」
緋色の双眸が楽しげに笑う。さあ、元服前の少年はどうするのか。
「僕の意にそぐわないやり方は決してせず、依頼を達成してください」
信武は真剣な面もちで、緋月にとって面倒な返しをしてきた。これでは一々彼の意志を尋ねなければなさそうだ。
「内容が曖昧だね。依頼料にさらに大判五十枚を足そうか」
緋月がそう告げれば、信武は苦い顔をする。普通に考えれば、大判百五十枚なんて大金を払えるのは大貴族か殿様くらいだ。浮浪者だと自己紹介していた彼に到底払える金額ではない。払えるとしたら、それこそ借金まみれの人生を過ごすか、外国に臓器でも売るかしないと。
そのくらいは彼でも考えついたらしく、信武は顔を青ざめさせた。
そんな顔をするくらいなら依頼をしなければいいのに。どうして遠回しに受けたくないと告げているのが伝わらないのか。
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