第二章

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※ 「じゃあ依頼の達成のために情報をもらおうか。ところでどんなときに呼ばれるの?」  信武は思い出すように目を閉じた。  信武が『それ』の存在に気づいたのは、ひと月ほど前のことだった。確か時間帯は人の多い昼時で、京の町を歩いていると背中に視線を感じた。  店の多い通りを歩いていたこともあり、もしかして物売りに標的にされたのだろうかと思った。こんなときは視線の方を振り返らずにさっさと立ち去るのが賢い。京に住み始めて日は浅かったが、信武は都での処世術を会得していた。  だが、どんなに歩いても視線は消えなかった。次第にじっとりと舐めるようなものに変わっていく。まるで捕食者が獲物を見つけ、舌なめずりをしているよう。信武は我慢できなくなり、振り返った。  だが、いくら信武が周囲を確認しても、視線の主は見つけられなかった。その代わり、視線は消えていた。  初めの頃は気のせいかと思い、気にも留めなかった。だが、日が経ってもその視線は無くなることはなく、次第に近づいているような気さえした。  声が聞こえたのは二週間前。そして手を見たのはここ数日前だ。  そろそろ危ないと思った矢先、信武は緋月と出会えた。  彼に頼るしかない。信武はそう思いながら、早朝に訪ねたことまでの経緯を語った。 「うん、大体わかった。他に情報はある?」 「えっと……」  信武はそのあとも思い出そうと眉間に眉を寄せたが、なにも出てこなかった。 「これ以外には気になることはありません。情報が少なくてすみません」 「いや、十分だよ」 「本当ですか!」 「うん。でも準備が必要だから少し付き合ってくれる? 野菜も買いにいかないといけないし」 「勿論です!」  緋月はにっこりと笑った。
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