side シュウ

2/4
前へ
/266ページ
次へ
* 「ここがシュウのお家?!すっごーーーい!」 ここあちゃんは、マンションのてっぺんでも見てるのか、顔を上向け感動したように声を上げた。 「そう…? たいしたことないよ。 それより、ここあちゃん…賢者は…」 あたりを見渡すと、肩で息をする賢者の姿が見えた。 「ここあちゃん…わしを置いて行くでない…」 息を切らせた賢者が、小さな声を漏らした。 「あ、ごっめーん! おじいちゃんのこと、忘れてた。」 「じいさん、すまなかったな。 道案内させて…」 「それは全然良いんじゃ。 束の間とはいえ、ここあちゃんと二人っきりでデート出来たんじゃからな。 ……それより、シュウ…ひかりは大丈夫なのか?」 「あぁ、ひかりなら出かけてるから大丈夫だ。 さ、入ってくれよ。」 * 「わぁ~っ!すご~い!」 玄関に入った時から、ここあちゃんはその言葉を連発してはいちいち驚く。 「わぁ~!なんて広いリビングなんだろう! うちの三倍…いや、五倍はあるわね。 良いなぁ… シュウがこんなセレブだったなんて、私、全然知らなかった!」 ここあちゃんはリビングに入っても、座りもせずにあちこちを見て周る。 「何言ってんだよ。 あのお店と家は、隼人君がここあちゃんのために建ててくれたもんなんだろ? それ以上のものはないじゃないか。」 「ま、それはそうなんだけどね… でも、やっぱりこういうお家には憧れちゃうな。 ね、シュウ、ここ、何部屋あるの?」 「えっと…七つかな…」 「七部屋も!? じゃあ、泊まれるね! 今度、隼人君と泊まりに来ても良い?」 「そりゃあ、構わないけど…」 「やったーーー! あ、それじゃあ、パーティの日にそのまま泊まっちゃおうっと!」 ここあちゃんは、勝手に話を決めてはしゃいでた。 「シュウ、隼人君がケーキを持たせてくれたんじゃ。 お茶でも煎れてくれんかのう。 久し振りに歩いたからちょっと疲れてのう…」 「あ、それなら私がやるわ。 キッチンはあそこね!」 ここあちゃんは、キッチンの方へ歩き出した。 初めての家じゃどこに食器があるのかもわからないだろうと思い、俺もそのままここあちゃんの後を追った。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加