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2019年、2月。
僕は今日も寒いボロアパートの外で、大人しく
座っている。
秋田の冬は寒い。
僕は秋田県内に住む、中学1年生。
今は家のドアに背中を向けて、振り積もっていく雪を目で追っているところだ。
僕の背中の方から聞こえる、激しい怒声。
アパート中まで響き渡る、雷のような怒鳴り
声。
僕は目を閉じて蹲り、何時しか眠ってしまっていた。
母さんの「あ?」という声で、僕は目を覚ました。
柚真の母)「なんだよ、雪降ってんのが?」
柚真)「当だり前だろ母さん。秋田の冬さ雪が降ってねぇなんて、有り得ねぁべ」
僕の声を聞くなり、母さんは僕の耳にも確実に聞こえる舌打ちをし、僕を見下ろしながら睨んだ。
柚真の母)「ちょっと外出るがら、おめ入りだがったら入れ」
そう言うと母さんはドアを思いっ切り開け、去って行くように出かけて行った。
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