第1章 面接

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「御社が他社と比べて秀でていると考えているところはどこですか。」 豊本が質問すると、面接官はやはり顔も上げずに 「あなたはわが社のウェブサイトを見ましたか?わが社のモットや製品に関しては、すべてサイトに載っていますよ。」 「そうではなく、社員自身が会社のどこを誇りに思っているかが知りたいんです。」 「わが社は業界ナンバーフォーで社員に対しての福利厚生も充実しています。勿論、社員研修に対しても力を入れています。で、他に質問はありますか。」 「もう、結構です。」 豊本は落胆してそれ以上質問を続ける気になれなかった。 豊本は今までの学生生活で、勉強にも部活にもアルバイトにも、全く本気で立ち向かったことなどなかった。 しかし、豊吉の社長に会って初めて心を動かされた。まだこの後今日も含めて、豊本は7社の面接が残っている。 しかし、既にそれらは豊本の頭からは離れていた。 足は株式会社豊吉の方へと向かっていた。
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