第2章 討論会

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時間が来て議題が発表された。 「アジア地域における十年後のデジタル業界の予測」。 願ってもない議題だ。 明智は、司会者の説明が終わるか終わらないかのうちに、話を始めた。 「現段階での日本の家電業界の状況は、・・・・。その中でアジア地域での販売状況は、・・・・。そして、アジア地域自体の家電メーカーの状況は・・・・。また、そこから私が十年後の勢力図を予測しますと、・・・・。従って、現段階から、・・・部分を強化しておけば、・・・・。」 明智の話が終わった後、沈黙が訪れた。誰も口を挟めないのだ。 このままではまずいと、一人メガネをかけた長髪の男が、口を開いた。 「えー、欧米のメーカーも、アジア市場は、狙っていますよね。その辺をどう考えていますか。」 明智は即座に応答した。 「欧米のメーカーは、・・・・。たとえば、・・・社などは、・・・・。そのことを考えると、・・・・だと思います。」 また、沈黙である。議論にならなかった。 その後、細かい議論は行われたが、それほど身のあるものには、進展しなかった。また残り三分というところで、明智は割り込んだ。 「皆さんの話を総合すると、ここでの結論は・・・・ということですね。」  最後の言葉を終えたとともに、チャイムがなった。 あまりにも、美しい締めくくりである。明智自身、自分の勝利を確信した。
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