たかが3円、されど3円

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3円さん!? 振り向くと、さっきの子が買い物袋を引っ提げて走ってきた。 「なんか、お礼させてよ」 「い、いいよ! 3円くらい」 「今日さ、どうしても買わなきゃいけないものばっかりだったんだ。助かったから」 あーっ、でもお礼するにもお金がないなあ。 彼女はそう言いながら、買い物袋の中を見た。見た目と違って律儀な子だ。 その袋の中のものはダメだろう。全部買わないといけないものって、さっき言ってたし。 「そうだ! うちに、ばあちゃんが作ったお饅頭ある!」 お饅頭!? 「行きます!」 僕は間髪入れずに即答した。
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