24人が本棚に入れています
本棚に追加
でかい! 爆弾饅頭か!?
これなら明日まで持つ!
「いただきます!」とかぶり付くと、中にはゴロンとサツマイモが入っていた。餡子との塩梅が丁度いい。
「それね。熊本県の郷土料理。『いきなり団子』っていうんだよ」
「いきなりサツマイモが出てくるから?」
「さあ、何でだっけ」
沙彩さんがケタケタと笑う。
空腹に餡子が浸みる。美味しい。僕はあっと言う間に平らげてしまった。
「最上くん、お腹空いてたんだね」
「あ、はい。まあ」
「ご飯も食べてく?」
「えええええ!?」
思わず立ち上がってしまった。おお、神よ! やはりあの3円は僕のために残してくれていたんですね!
僕の熱量に驚いたのか、沙彩さんはぽかんと口を開けてこちらを見つめていた。その顔を見て、一瞬で冷静になり、ストンと着席する。ずり落ちた眼鏡を中指で戻すと、僕は羞恥に俯いた。
しかし、「いえ、帰ります」と言うことを、僕の体の器官全部が拒否している。だって、相手からの申し出じゃないか!
「実は、先程の3円が全財産……」
言い掛けたところで、玄関の戸が開いた。
最初のコメントを投稿しよう!