たかが3円、されど3円

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でかい! 爆弾饅頭か!? これなら明日まで持つ! 「いただきます!」とかぶり付くと、中にはゴロンとサツマイモが入っていた。餡子との塩梅が丁度いい。 「それね。熊本県の郷土料理。『いきなり団子』っていうんだよ」 「いきなりサツマイモが出てくるから?」 「さあ、何でだっけ」 沙彩さんがケタケタと笑う。 空腹に餡子が浸みる。美味しい。僕はあっと言う間に平らげてしまった。 「最上くん、お腹空いてたんだね」 「あ、はい。まあ」 「ご飯も食べてく?」 「えええええ!?」 思わず立ち上がってしまった。おお、神よ! やはりあの3円は僕のために残してくれていたんですね! 僕の熱量に驚いたのか、沙彩さんはぽかんと口を開けてこちらを見つめていた。その顔を見て、一瞬で冷静になり、ストンと着席する。ずり落ちた眼鏡を中指で戻すと、僕は羞恥に俯いた。 しかし、「いえ、帰ります」と言うことを、僕の体の器官全部が拒否している。だって、相手からの申し出じゃないか!  「実は、先程の3円が全財産……」 言い掛けたところで、玄関の戸が開いた。
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