3円の奇跡

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僕は腕を組んで正座したまま、四角い座卓と対峙していた。 薄いブルーの座卓の面に、向きを揃えてきれいに並べた、1円玉が3枚。 現在の全財産だ。 ちなみに、バイトの給料日まであと1週間。 『お金に困ったら、連絡していいからね』 故郷の母の言葉が蘇り、首をガクリと垂れた。 「情けない」 実家にはお金がないことは、よく分かっている。だからこそ僕は、高校時代から新聞配達をやって、自分で専門学校の学費を稼いできた。 そして、自分のためなら両親は色々なものを我慢して、結構な金額を送ってくれるはず。それも分かっている。 だからこそ言えない。 普段は倹約家の僕。今月は付き合いがあったり、バイクで転んだ治療費が必要だったりと、出費が多かった。 お金が翼を持っていることを知った。 「人は水さえ飲んでいたら、1週間は生き続けることができる」 ボソリと念じた。 何かの名言集にそう書いてあった気がする。 漂ってくる夕餉(ゆうげ)の香り。窓を閉めてシャットアウトし、僕は猛然と台所にいって水を飲んだ。 茶腹も一時! しかし、茶葉さえない!
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