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「さあ!早くこっちへ!」
のばされた手を必死になって掴もうとした。空は赤く燃え、よその国の飛行機が唸り声をあげている。燃え盛る火の中でちらちら舞う火の粉が私の頭に落ちてくる。バラバラバラと音を立てて降ってくるものは命を奪い、人の生活を壊す小型爆弾。崩れ落ちる家の合間にいた私は身動きができず煙で息もできなかった。
「早くこっちへ!」
手をのばしてくれたのは知らない男だった。この街は人が多く行き交う。どこかで会ったことがあるかもしれないし、たまたまこの街に立ち寄った人なのかもしれなかった。
「早く!」
男は煙でせき込み、動かない私をぐいっと掴んだ。燃え盛る火の中で私は目の前にいる男の顔を美しいと思った。
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