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多くの人が弔いのために燃やされた。その弔いを手伝う男の側に私はいる。疲れ切った男はいつまで続くのかとぼやき、私の方を見て困ったように笑った。
「この先どうなるんだろうな」
そんなこと私にもわからない。ただ、この男は私を家に連れて行き、キレイに体をぬぐって、慎ましいながら食事を与えてくれた。独り身の男で貧しいようだったが、身体は丈夫だった。毎日毎日、人を炎の中にくべ、頭を丸めた男の側で手を合わせる。その日にもらったお金は、どこからともなく現れたガラの悪い男に取り上げられた。数枚、お金を抜き取ると、しっかりなと肩を叩いて去って行く。ため息をつきつき男は頭を振った。
来る日も来る日も人を炎の中にくべていたが、とうとう終わりが見えてきた。男は別の仕事をすると言って住んでいる家を出て、都会へと仕事を探しに行く。
「お前はどうする?一緒に行くかい?」
もちろん私は一緒に行く。独り身のこの男が心配だった。私に何ができるかわからないけれど、それでも私がそばに寄っていくと嬉しそうな顔をした。この時ばかりは予測不能だった。男と私の頭上に大きな看板が落ちてきたのだ。
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