1章:穏やかな交際のはずでした。

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人懐っこいんだろうな。 こういうコは憎めない性格だと思う。 「お姉さんも仕事ですか?」 「アタシはまだ、ね。  なかなか許可がおりなくて。  今日はそのための手続きに来ただけ」 「そうなんですね。  でも会えたのはやっぱり嬉しいです!  あ、お姉さんの名前!  七星セツナさんって言うんですねッ」 どうして急に名前…と 少しビックリしたけれど 話ながら首からぶら下げてる 社員カードを見たんだろう。 ココで働く職員は必ず着用が義務だから。 「あ、うん。  キミは…風見(かざみ)くんって言うんだね。  今更だけど、宜しくね」 アタシも同じように 彼の首から掛けてある 真新しい社員カードを見ながら挨拶。 「改めて風見ハルです!  こちらこそ宜しくお願いします!」 嬉しそうに笑顔を見せ拍手を求められたので 挨拶くらいは…と特に気にも留めず応じた。 「あ、そうだ!  連絡先教えてくださいよ!」 「え、ほ、本当に…?」 どういう意図があって言っているのかわからないけれど… 彼氏がいる手前 それはいかがなモノだろうか…
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